2018年12月6日、水道事業を民営化しやすくする改正水道法が可決され成立していたようです。私が初歩的で気になったポイントをピックアップしてまとめたいと思います。
・2018年12月12日に水道法の一部を改正する法律が公布されました。
・2019年9月30日に水道法施行規則の一部を改正する省令が公布されました。
・2019年10月1日に水道法の一部を改正する法律が施行されました(ただし、水道施設台帳の作成・保管義務については、2022年9月30日までは適用されません)
出典:厚生労働省
その他よくある質問への返答をまとめたも資料もありました。
*いつから民営化されるか?
各自治体によって違うようで、早いところで2020年から始まるそうです。
出典:MONY VOICE
ついに始まった水道民営化、なぜ日本は海外「水道代5倍」の失敗例を無視するのか? | マネーボイス
*なぜ今民営化するのか?
下記2点の問題を解決するためにコンセッション方式(設備等の所有権はそのままに経営権のみが民営化される)によりその判断は各自治体がおこなうもの、によって民間企業のノウハウを生かそうという考え。
・水槽設備の老朽化に伴いその水道管の更新のための「資金・人材」が不足しているとのことです。費用に関しては水道管の取り換えにはとってもお金がかかるそうです。1kmの水道管を換えるのに1億円以上かかるとか!取り換えなきゃいけない水道管の長さは全国で10万kmと言われてるので10兆円以上かかる計算になるそうです。
日本の浄水設備の多くは1960年代から70年代の高度経済成長期に建設されたもので、今後も老朽施設の更新需要は年々増加していきます。
現在、耐用年数40年以上を超える水道管は約10万km、これは地球2周半に相当します。更新費用は1kmあたり1億円以上もかかるそうです。
これを早急に対処しなければならないのですが、現状ではかなり困難な状況になっているというのが政府の見解です。
・人口減少により、水道料金収入が減少しています。そのため水道事業維持を困難にしているようです。約40年後には水需要が約4割減少すると厚生労働省は試算しているようです。それゆえ毎年、水道料金は値上げされてきています。日本水道協会の調べによれば、この4年間ずっと水道料金は上がっています。家庭用水道料金の、立方メートルあたりの月額料金は、過去最高の3,228円となっています。日本政策投資銀行の試算によれば、このままいけば、水道料金は30年後には6割も上がることになるそうです。水道料金を値上げしても、水道事業者は赤字だそうです。厚生労働省によると、市町村が運営する水道事業は全国で約3割が赤字となっているそうです。水道事業の大部分は固定費で、人口減少で水道需要が減っても、大きく運営コストが下がるものではありません。
*民営化になると何がどう変わるのか?
・民営化と言っても、コンセッション方式(設備等の所有権はそのままに経営権のみが民営化される)によりその判断は各自治体がおこなうもの。
・水道民営化は電気・ガスの場合と異なり、個人で民間会社を選択できるわけではなく、自治体ごとで変わるもの。
出典:異邦人のすすめ
水道民営化をわかりやすく!時期はいつから?嘘やデマに要注意! | 異邦人のすすめ
*コンセッション方式とは?もっと分かりやすく知りたい
・高速道路、空港で実施した例があります。空港の場合、空港の土地は自治体の所有のまま、レストランや駐車場等の運営を民間企業が行います。民間企業のコスト管理から収益を得るノウハウを活用するというものです。
・水道管老朽化対策促進の名目で、市町村などが経営する原則は維持しながら民間企業に運営権を売却できる仕組み(コンセッション方式)も盛り込んだのが、今回の水道法改正になります。
・平たく言えば、公的機関が商売するよりも、民間企業が商売したほうが儲かるというものです。
*民営化のメリット・デメリット
メリット
- 人口削減に対して「広域連携」は複数の自治体を1つのグループとして住民サービスを提供しようというものです。小さい自治体を1つにすることでサービスコストの効率化をはかろうとするものです。自治体単位という垣根を越えるというものですが、広域連携をしても採算性が悪いとなれば、民間企業は切り捨てないかという懸念は残ります。まだメリットとなるかどうかは分かりません。
デメリット
- 水道代の高等化の可能性と、自治体ごとの格差がより出る可能性がある。高等化の実例では、・フランスのパリでは、1980年代に民営化した後、30年で水道料金が5倍になったことで、2010年に再公営化したそうです。・マニラは1997年に水道事業を民営化しましたが、米ベクテル社などが参入すると水道料金は4~5倍になり、低所得者は水道の使用を禁じられました・またボリビアは1999年に水道事業を民営化したものの、やはりアメリカのベクテルが水道料金を一気に倍以上に引き上げ、耐えかねた住民たちは大規模デモを起こし、200人近い死傷者を出す紛争に発展しました。
- 水質低下の可能性がある、実例では米国アトランタでは、企業の人員削減で水処理が不十分になり、茶色の水が出るという水質低下が見られたという例があります。
- 水道事業を民営化した後、以上の様な様々な問題が生じて公営化に戻す「再公営化」の動きが目立つそうで、2000年から2015年の15年間で、37カ国235都市で再公営化がされているそうです。
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外資が参入してきて水道料金を引き上げ、水道料金が支払えない低所得者層は水が飲めずに、衛生上よくない水を飲んで病気になるケースがみられ、民間の水道事業者が利益ばかり追いかけたことにより、「再公営化」が世界の潮流となりつつあるという指摘もあるので、成功するかどうかが分かりません。
上記の外資企業と言われるのが「水メジャー」と呼ばれる企業で、2強と呼ばれるのがスエズ・エンバイロメント(フランスや中国、アルゼンチンに進出)とヴェオリア・エンバイロメント(中国、メキシコ、ドイツに進出)です。
出典:MONY VOICE、ついに始まった水道民営化、なぜ日本は海外「水道代5倍」の失敗例を無視するのか?
ついに始まった水道民営化、なぜ日本は海外「水道代5倍」の失敗例を無視するのか? | ページ 6 / 6 | マネーボイス
メリットもデメリットも他国の状況や推測によるものでどうなるかは分かりませんが、現代でさえ浄水器が欠かせないのにこれからの日本の水道事情が心配になりますし、水同様に当たり前と思っている水、砂、材木といった資源、そして土地が心配になります。そして今回の水道事業と外国人の水源地の買い占め疑惑とは関係のない話だそうです。情報が多すぎて錯そうしないようにしたいです。